【銀行員を3ヶ月で辞め、料理の道へ】就活をゴールにしない生き方。

【銀行員を3ヶ月で辞め、料理の道へ】就活をゴールにしない生き方。
大学卒業後、3ヶ月で銀行を退職し、シェフの道へ。
一度は「臆病な気持ち半分」で大企業を選んだ、と等身大な言葉で語ってくれた関根さんが、もう一度「好き」に素直になれたのは何故だったのか。
「就活をゴールにしない生き方」に迫ります。



「簡単に自己紹介をお願いいたします。」

昨年3月に大学を卒業後、大手銀行に就職し、7月に同社を退職しました。現在は「Le sputnik」というフレンチレストランで料理修行をしています。
今後は、「裏側にあるストーリーまで思い巡らせた上で食べ物の選択をし、美味しく余すことなく食べる社会」を実現させられるような人になりたいと考えています。

「銀行員からシェフという大きな転身を遂げられた関根さんですが、なぜシェフを目指すに至ったのでしょうか?」

両親が共働きだったこともあり、小学生の頃から必要に駆られてよく料理をしていたんです。その為、昔から料理というものがすごく身近にあって、その中で家族や友人に振舞ってすぐに反応を見れることの面白さを感じていました。

とはいえ、大学入学後も料理はあくまで大好きな趣味でしかなく、それを仕事にしようとまでは考えていませんでした。

そんな中で大学3年時に訪れたあるレストランが、自分のその後の選択に大きな影響を与えたんです。
そのレストランというのが、東京にある「L'effervescence」という場所なのですが、そこで、自分が今まで見たことのないような食材の掛け合わせ、見た目の芸術さ、なにより生産者に寄り添ったシェフの想いがビシビシ伝わる、そのシェフにしか作れないような料理に出会い、深く感動させられました。こんなにオリジナリティがあって、想いを伝えられて、人を感動させられる職業って楽しいだろうなと思い、その時初めて職業としての料理人に惹かれました。
また、このお店のシェフが料理を通して様々な社会問題に向き合っていることを知り、「料理」というスキルが1つあればそれを軸に様々な活動が出来るんだ、という点にも魅力を感じましたね。私自身いろいろなことに手を出したくなる性格なので。笑

「L'effervescence」の一品。

その後も、各地のレストランを訪れたり、地元のフレンチレストランでお手伝いさせてもらったりする中で、料理を突き詰めてみたいという想いが日に日に増していきました。

大学四年時に滞在したアイルランドの農園にて。ここでの経験が関根さんを料理の道へと突き動かしてゆく。

少し話は逸れますが、私は旅が大好きで、学生時代には様々な国を訪れ、多様な人たちと触れ合ってきました。その中で、自分のやりたいことをして”人生を楽しんでる大人”に何度も出会い、どの大人も年齢に関係なく生き生きしてるな、という印象を受けたんです。そういった経験の中で、一般的なサラリーマン以外の選択肢が、未知の怖いものではなく、身近で魅力的な選択肢になっていたのかもしれないですね。就職にこだわる必要なんてないな、視野は広くしておかないとだめだなーって。

また僕は人生のテーマとして、働き方や生活する場所、取り組むことなど、あらゆる面において出来る限り自由でい続けたいと考えていて、その点でも手に職をつけられる料理人という職業は魅力的でした。手に職つけていれば、世界中どこででも自分のやりたい挑戦ができるなーって。

と、ここまで答えてきましたが、結局僕は一度就職という道を選んでいるんですよね。

料理の道に進みたいという想いは確かにあったのですが、就職活動が始まる時期までに決断するには至らず、フワフワしたまま就職活動をし、会社から内定をいただいたのです。内定辞退も何度も考えましたが、せっかくなら一度社会を見ておきたいという気持ち半分、臆病な気持ち半分で、一旦はサラリーマンの道に進むことになりました。会社には迷惑をかけてしまってるので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

そんな経緯でサラリーマン生活がスタートしたのですが、入社から3ヶ月ほど経った時に、以前から気になっていたレストランが求人を出しているのを見つけたんです。
それをきっかけにあらためて今後のキャリアについてよく考えたのですが、「こんなチャンスいつまたやって来るかわからないな」「迷ったらワクワクする方に進みたいな」という思いから、自分でも驚くほどすんなりと料理の道に飛び込むことを決心しました。


「一度は銀行員への道を選んだというのが、等身大で身近に感じられます。新卒就活時、どうしても外聞を気にして、大企業病にかかってしまう人が多いと思います。その点についてどうお考えでしょうか。」

育てる〜食べるまでの過程を経験させてくれたガチョウたち。

まず、大企業病という言葉をよく聞くけれど、べつに大企業に行くことが必ずしもネガティブなことだとは思っていないです。ある程度高額な給料が貰えて、日本の中で比較すれば休みだってたくさん貰えて、福利厚生もしっかりしてて、合コンでモテて、お金も貯まって、家族とマイホームに住んで、みたいな暮らしだってすごく幸せな暮らしだと思うし、そっちの方が向いてる人だってたくさんいると思うんです。

ただこれからの時代、大企業でも多くの場合安定してるとは限らないので、外聞だけを気にしてだとか、無思考でとりあえずってのは良くないですけど。しっかりと考えた上で大企業を選択してる人は全然良いと思います。

っていうのを前置きした上で、やはり個人的には、感情的にも、合理的にも、好きなことや興味ある分野を突き詰めていくような、趣味と言えるような仕事をしていったほうが、これからの時代には合ってるのかなと思います。

採れたての規格外野菜を調理していた農園生活。

感情的にっていうのは、「好きを仕事にできたら幸せ」「ワクワクする道進んだ方がいい」といった、言い古された言葉のことですね。けどこれってすごく大事なことで、「暇な時に何する?」を仕事にできたら、ストレスフリーだし、長時間労動だって気にならないと思うんです。
現代の一般的な企業であれば、週7日のうち5日は仕事があるので、それだったら「ワークライフバランス」よりも「ワークライフミックス」の方が幸せに繋がるのかなーって個人的には思いますね。

合理的にっていう方ですが、今後は機械やコンピューターがどんどん人間の仕事を肩代わりしていってくれるので、人間にしかできないことの重要性は高まっていくじゃないですか。そんな中で人間にしかない特徴の一つに「趣味を持つこと」があると思っているんですけど、没頭することが苦にならない趣味であればどんどん突き詰めていくことができて、そうしているうちに、機械には生み出せないようなクリエイティブ性が出てくるのかなって思います。そしてこれを続けていくことで、自分の価値やオリジナリティに繋がっていくんじゃないですかね。
今の時代であれば、クラウドファンディングだったりpolcaだったりタイムバンクだったり、その人に価値があれば後からお金を集める手段はいくらでもありますし。
(芸人の西野亮廣さんの言葉を引用させていただくと、「お金を稼ぐな。信用を稼げ。信用持ちは現代の錬金術師だ。」ってことですね。笑)
そういった意味でも、年収だけをモチベーションに、興味の湧かない仕事を選ぶのだけはおすすめしませんね。

また、もし仮にそういった大好きな分野を就活の時期までに見つけられなかったのなら、「特に好きなものが無いからネームバリューや年収で大企業を選ぶ」というのではなく、もっと柔軟に自分が何をしたいのか探す期間を設けてもいいんじゃないかなって僕は思います。近年話題の著書「LIFE SHIFT」でいうところのエクスプローラー期間ってことですね。自分は何をしたいのかを探す為に、いろんな仕事をしたり、異国に旅したり、未知の人に出会ったり、幅広い経験をすればいいんじゃないかなと。本当にやりたい事が見つからないまま、就活がゴールになってしまい、なんとなくおじさんおばさんになっていくのはすごく勿体無いと思います。(エクスプローラー期間として大企業をとりあえず経験してみる、ということを意識的にするのなら全然ありだと思います。)

関根さんが特に影響を受けたと語る一冊。

実を言うと、僕自身半分エクスプローラー期間みたいなところがあるんですよ。
自分の中で一生料理人をやるんだってほど覚悟を持っているわけではなくて、とにかく今一番興味が湧くものを突き詰めてみようという意識が強いので。批判もあるかもしれませんが。

「驚くほどすんなりと料理の道に飛び込むことができたとおっしゃっていましたが、多くの学生にとって人と違う道を選ぶのはとても勇気のいることだと思います。本当に怖さはなかったのでしょうか?」

料理の道に飛び込んだタイミングでは怖さはなかったです。というのも、会社に入社してから、僕の理想とする生き方をしている人達の考えに、本やSNSを通じて常に触れていた為か、この決断は“当たり前のこと"という感覚になっていたんですよ。
そういった意味で、この感覚を掴むためにも、理想とする人の本をたくさん読んだり、SNSをフォローしたりして、自ら背中を押されにいくのはおすすめですね。

関根さんが影響を受けた映画。

「最後に、そうした勇気ある一歩を踏み出せずにいる学生に対して、メッセージをお願いします。」

僕が何よりも伝えたいのは、"とりあえず行動"が大事だということです。これからの時代は、失敗したっていくらでもやり直せるような世の中になってくると思うんですよ(リクルートが30歳まで新卒を発表していましたが、こういった柔軟なキャリアの選択肢が今後どんどん増えてくんじゃないですかね)。だからこそ、この記事の読者の多くはまだ学生なんだし、失敗したってまだ若者なんだから、面白いと思うことがあればどんどん挑戦すればいいと思うんです。悩む前にとりあえず始めて、たくさん失敗すればいいじゃないですか。うまくいくかどうかにかかわらず、行動している人って確実に成長していくと思うので、長期的にみればそっちの方が"安定"なんじゃないかなと思いますね。

フランス料理店で修行に励む、現在の関根さん。
中本れみ

Writer

中本れみ
Remi Nakamoto
アルバイト代のほとんどを、カレーとTSUTAYAに貢いでいます。暮らしを豊かにするものづくりがしたい。趣味は日没二時間前のお散歩と、フィルムで写真を撮ること。
▶中本れみの記事を読む