「先輩の、イキザマ。」vol.1【中編】 パーソナルファウンダー山本剛司

 「先輩の、イキザマ。」vol.1【中編】 パーソナルファウンダー山本剛司
4年制の大学を卒業してもプロのカメラマンになれるの?
幼いころのパン屋さんになるという夢はただの夢で終わるの?

気になる職業に就くあの先輩は、いったいその職に就くまでにどのような道のりを歩んできたのだろう? そんな先輩に迫り、紐解くシリーズが「先輩の、イキザマ。」。
きっと、真似したいテクニックや心持ち、背中を押してくれる名言がそこには隠れているはず。

今回は、元リクルート役員で、現在は個人投資家として夢を追う若者を支援している山本剛司さんの中編。
上京後、ポスティングのアルバイトからリクルートの営業に。その紆余曲折を聞く。


ポスティングのアルバイトから営業マンに


山本さんは22歳で神戸から東京へ。
就職のため…ではなく、音楽活動が認められてのことだった。

「飲み会をいかした事業(前編参照)後から本格的にはじめたことが音楽活動だったんです。 ライブハウスで、デビュー前のレベッカやBARBEE BOYSの前座をやっていました。そんな日々を過ごしていたときに、彼らを見に来ていたレコード会社のディレクターが『君、なかなか魅力があるから東京へ出てこない?』とスカウトしてくれたんです。仕事でも遊びでも、僕にとって社会との接点にこだわりはなかったので、『好きな音楽やれるなら好都合』と思い、東京に出ることにしたんです。でも音楽活動は結局、趣味程度になってしまうんですけどね(笑)」

「上京後、まずアルバイト探し。アルバイト情報誌を、端から端まで3時間くらいかけて読み込んで。その中で良いなと思ったのが、そのアルバイト情報誌を作っているフロムエーの亀戸営業所のポスティングアルバイト。当時はリクルートという名前も知らなくて…。就活をしていないので、世の中にある会社を全然知らなかったんです。営業所に「リクルート フロムエー」と書いてあったので、『リクルートって、会社名? なんだか怪しいな…』としか思っていなかったです(笑)。ポスティングの仕事は、企業やお店にチラシや見本誌を持って行くこと。そうするとアルバイトの僕に対して、『フロムエーの利点について教えてよ』と言ってくるところの多いこと多いこと。『難しいことはわからない』と言っても、『君もフロムエーを見てアルバイトに応募したんだろ?』『掲載されている情報のどこに惹かれたの?』と聞いてくる企業やお店が多かった。とりあえず思ったことや感想を、実直に話していました。そうこうしているうちに、営業の先輩たちから『得意先の人たちが山本くんのこと気に入ってるみたい』『営業やってみない?』と言われたんですよね。でも、営業は大変というのが先輩をみてわかっていたので、それだけのメリットあれば…と思っていたら、日給がどんと跳ね上がると聞いてやってみることに(笑)。当時はスーツも持っていなかったので、上司にスーツ、ネクタイ、革靴と一式借りて営業していました」


山本流、営業の極意


「最初は研修として先輩の営業について回ったのですが、すでに顧客になっているところに行くだけなので、新規営業のノウハウは学べない。だから営業は完全に我流です。何もわからないまま新規営業をしていると、立場の偉い人は意外と話を聞いてくれる、ということがわかってきたので、どうすれば採用や広告の実権を握っている人と会えるか、そればかり考えてました。最初に実行したのは、“まずは自分が客になる”ということ。普段の生活のなかで、ご飯も食べるし、お酒も飲むし、病院にも行く。それなら担当エリアで日常生活を済ませば一石二鳥。病院なら治療後に名刺出したら無視出来ないだろうし、居酒屋でも飲んでいる最中や飲んだ直後にオーナーや店長さんと名刺交換する。営業する前に、お客になる。徹底してやりましたね。この方法で、月に70件くらい受注をもらえるようになったんです。あとは、いくらでもつっこんでいくスタイル(笑)。『ほかのアルバイト情報誌に載せてもいい採用がないのに、なぜうちを使ってみないんですか?』『せめて可能性あるなら使ってみては』と。基本的に新規営業は難しい、というのがわかっていたので、怖いものがない。それよりも、何も知らないまま始めた僕にとっては、ゲームみたい (笑)。その数年後には、大手の担当になったのですが、アルバイトから営業をはじめたこの当時のほうが取引の規模は小さいけど、社長に直接営業してそれがすぐに形になってダイナミックに動くのが手に取るようにわかったので、面白かったですね」


自分で考えること、興味をもつことで、知見が広がる


「知識もなしにはじめた営業だからこそ知見が広がりました。営業先から『採用決まった』と聞くと、誰に言われたでもなく、ただ興味で採用された人に会いにいって。『数ある居酒屋のなかで、なぜこの居酒屋を選んだの?』『アルバイト情報誌の原稿で、何が響いた?』と聞いてまわっていました。まあ大した理由をもっている人は少なくて、『担当の店長と苗字が同じだったから親近感で』なんてことが多いのですが(笑)。動機はいろいろ。でも、必ずしも時給がいい、華やかにみえる職種、だけで人は仕事を決めるわけではないんだなと気づけたのは、その後の自分にとって大きかったですし、興味深いポイントでしたね」


「先輩の、イキザマ。」編集後記 〜学生ライター井東の視点〜

「効率がいいから」と、営業をかねて日常生活を送る。たとえば競合のアルバイト情報誌に掲載しているお店にお客として入り込んで、オーナーと名刺交換まで通う。商談しやすいからと生活と営業を結び付け、興味があるからと仕事以外の時間でもアルバイトの採用が決まった全員と会う。仕事、というよりは人や駆け引き(それも営業という仕事だけど)に“興味”があり“面白い”と思ってたからこそできる行動。仕事とプライベートは別! と考える人も多そうだけど、“興味”“面白い”という人間のもっている原動力は、やっぱりその壁を超えそうだ。


〉〉前編:学生時代に何を行っていたのか。
〉〉後編:アルバイトから現在の個人投資家にに至るまでの経緯。

井東希美

Writer

井東希美
Nozomi Ito
暇さえあれば美味しいお店をリサーチし、行きたいお店リストに追加している食いしん坊です。今はフルーツパフェが狙い目。趣味は読書と寝ること、それと考えること。
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