哲学から見た「就職に大切なもの」を聞いてみた

哲学から見た「就職に大切なもの」を聞いてみた
こんにちは、ライターの阿部です。私はいま、文学部の哲学専攻に所属しています。そんなわけで哲学書には日常的に触れなければならないものの、興味が持てないとなかなか頭に入らない⋯。そんなある時、「読まずに死ねない哲学名著50冊」という本に出合った。著者は平原卓さん。そして肩書は「哲学者」。
 なぜ哲学者になったのか。そして、哲学者から見た就職とはどんなものに映るんだろう。平原卓さんご本人に直接聞いてみた。

「哲学思想をまとめたサイトを2012年に開設しました。最初は自分の勉強の一環でやってたんですが、せっかくやるのなら多くの人に読んでもらいと思って地道にやってるうちに二年くらいで閲覧数が伸びました。そうしたら出版社の方からお話を頂いて本を出すことになったんです。で、肩書をどうしようかと考えて、じゃあ哲学者にしようとなりました。



サイトを開設したころ定職についていなかったんですが、何か自分でやりたいことがあってそれに向かっているという自負がありました。都会では多様な生き方、多様な人がいます。やるべきことをやれる環境です。自分の場合それが哲学でした。バイトで最低限の生活費を確保し、勉強をしようと思いました。それが自分にとって大事なことです。やるべきことをやって、今に至ります。
僕は就活をしたことがありませんが、就職で大事なことは自分がその選択で納得できるかどうかではないでしょうか。自分の理想と現実をどう折り合いを付けられるかどうかです。それは人それぞれで、いろんな選択肢が出てくると思います。現実的に届く範囲で選ぶしかないけど、選んだ仕事で人生が決まるわけじゃないです。婚活とかじゃなければ、どこの会社に勤めてても誰も気にしません。気にするのは自分だけなんですよ。そうなると自分の納得の問題になります。
自分を支えるものが仕事だけだと、それがなくなったら一瞬で崩れてしまいます。趣味でも熱中できることでもある方が、魅力的な人だと思います。一般的に魅力的な仕事って競争率高いじゃないですか、そうなると仕事で自分を立てられる人ってごく一部です。飲み会でもいいですし、読書会でもいい。規則やルールを持った営みがあると、それを楽しみにする気持ちが持続します。満足感や達成感、楽しんでるという気持ちが得られます。そういうのがあるといいんじゃないでしょうか。仕事も仕事以外も真剣に楽しめるというのが大事です。

仕事と同じくらい大事なものが無いとバランスがとれないです。仕事だけに振り切らないように、最終的にバランスを取れるようにするのが大事だと思います。」
自分のやりたいことを突き詰めた結果、平原さんは哲学者という職にたどり着いた。確かに、バイトでも何でもすれば自分のやりたいことをして生きていける可能性もある。でも私たちはおおむね就職しなくちゃならない。その方が生活は安定するし、安心もする。その時に考えるべきことが「自分が納得できる選択をしたかどうか」というのは、私にとって新鮮なアイデアだった。この職業は、この働き方は、自分の本当にやりたいことをできるものなのか。この会社は熱意を持って務める意味があるのか。就職や就活って「自分が評価される」という受動的なものだと思っていたけれど、「自分の納得」を優先するべきなんだって気がついた。

シゴト以外に楽しみを持つことも大事だ。シゴトが人生の軸になることは確かだけど、軸はその一本じゃない。それを見つけられたらきっと、充実した社会人生活になるんだろう。シゴト以外に大事なもの。趣味でも勉強でもなんでもいい、学生のうちに見つけよう。

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阿部佳音

Writer

阿部佳音
Kanon Abe
札幌出身、東京在住。趣味は音楽、映画、漫画、アニメ、写真、ラジオ⋯サブカル寄りに散らかり気味。寒さに強くて暑さに弱い。日々、何か大切そうなことを考えて生きたい。
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